ネイチャーデコール主宰 建築デザイナー大浦比呂志のこだわりの世界観を、建築、インテリアの事例やライフスタイルにスポットをあてながら紹介して参ります。
ビーチリゾートのホテルの様な設えのバス&パウダールーム。
バスルームからもパウダールームからも海が見える計画で、
部屋同士も透明のテンパーライトガラスで一室空間に見えるような開放性をもたせました。
今回は、この空間を構成するディティールについて、少し触れていきます。
バスルームから外のデッキ〜ジャクジーへ出れるように開閉されます。
パウダールームの洗面台の背面も透明ガラスFIX。
ここはどちらの部屋も壁にはしないで、ガラスで外と繋げています。
この部分のガラスは、ハーフミラー効果があるもので、
光が反射して昼間の室内が見えにくいので、プライバシーを守ることができます。
夜はブラインドを閉めれるようになっています。
天井材も、床・壁材もバスとパウダーを分けることなく、
同じ素材で仕上げています。
それによって、より広がりが感じられるようにしています。
給湯リモコンって生活感があって結構目立つモノ。
かといって、目立たない場所に持っていくと、使いにくくなってしまうし、、、
そこで、リモコンをスチール製の黒皮仕上げしたボックスでカバーリングしました。
有効ワイド1600㎜という、二人で使用しても大丈夫な大きな流し場を、
天板と一体成形で作りました。
ここも天板全体を同一素材でシンプルにまとめています。
天板の厚みは250㎜で素材自体のボリューム感を出すようにデザイン。
シンプルなだけに、この素材の塊、表情がとても大切になってきます。
天板から自立したミラー面がスッキリと見えるように、収納は側面からスライド式に。
洗面台回りの細かなモノはすべてこのスライド型収納に納めていきます。
反対側にはハンドタオル用のフックを取り付けてます。
ミラーに直接、工業系レセップを取付け、直径95ミリの大きめのLEDの裸電球を。
これは、LED電球でもフィラメント電球のように懐かしさを感じる電球です。
水栓も蛇口も照明と同様にミラーへ直接取り付ける感じで。
ミラーから付き出してくるような、水栓がなかなか面白いです。
スイッチプレートやコンセントプレートも、トグルスイッチなどシンプルなモノで。
住宅の中には数十というパーツがありますが、
こうした、こまかなディティールの総体が空間にしっくり馴染んでいくと、
飽きの来ない、エッジの効いたものへとなっていきます。
今回は、ここ最近手掛けたお家の様々なパウダールームのデザインをご紹介します。
パウダールームも家の中の他のエレメントと同様に、
大きさ・素材・衛生陶器・照明・取手パーツ類など多種多様な選択肢の中から、
その家独自のデザインでオリジナルに作り上げていくことが可能です。
ただ、こうして最近の事例を並べてみると、やはり最近のトレンドや
自分の中のマイブームな素材などの共通性を見つけることが出来ます。
○ 万能マテリアルのモールテックスが多用されてます。
ボリュームのある厚めの天板にシンクまでを一体でモールテックスで仕上げた事例
ザックリとした白板貼りと白のメトロタイルはグレーの目地で。
アクセントにグレーの柄タイルで全体的にはコージーなイメージの中、
北欧テイストのアルヴァ・アールトの照明とモダンなミラーがスパイスに。
モールテックスの天板にオークの古材を組み合わせ、
壁面は淡いグレーでカラーリングされた、
ナチュラル&モダンなデザインのパウダースペース。
北側に面したこのスペースにはトップライトの光で柔らかな自然光を。
洗面台・壁面全体・そして床の一部までの広い面をモールテックスで仕上げた事例。
隣接のバスルームも壁・天井をパウダールームと同じ素材で統一し、
テンパーライトのガラスを通してスペースが一体で繋がるようにしました。
天井のチーク材とクールな壁面廻りの相反した質感がバランス良くマッチ。
○ タイルのポイント使いがアクセント
清潔感のある「白」を基調に、床や腰のタイルにアクセントを持たせた事例。
奇をてらう事のない、ベーシックでホテルライクなデザイン。
ブラケット照明や水栓金具はオーナー自らが個人輸入でゲットしたもの。
ネイチャーデコールでも人気のタオルウォーマーが
違和感なくこのスペースに融け込んでます。
キャビネットや建具類、そしてモザイクタイルなど「黒」をポイントカラーにした
ブルックリンスタイルのパウダースペース。
マリンライトや水栓金具、ペーパーホルダーは真鍮古色で統一。
ブルックリンスタイルは何年か前からの人気のデザインスタイルの一つで、
LDKのスペース同様に水廻りもテイストを合わせました。
全体のスペースをどういうイメージにするか?
それに合う、照明器具は?天板の素材は何にする?タイルも様々あるけど、、
水栓金具の機能も大切だけどデザインや素材をどうする?
小さいけど目に付く取手やハンガー類の金物は?
そもそもシンクは1台?2台?・・
「標準仕様」が無いので、どんな空間も自分のこだわりで自由にデザイン出来る事が
また楽しいですね〜
そろそろ引き渡し間際の千葉県、習志野市で進めているお家。
この家のパウダールームは「モールテックス」を随所に使用しています。
このブログでも、「モールテックス」の利点は何度かお話ししていますが、
その独特な風合いが、今とてもお気に入りのマテリアルのひとつです。
階段吹き抜けの地層壁のドアを開けて、2階にあるパウダールームへ。
パウダールームの天板、それに繋がる壁、そして床の一部が「モールテックス」の
仕上げで統一されています。
そして隣のバスルームも、「モールテックス」の壁、チーク材の天井で、
トーメーガラスを通してパウダールームと同一素材で繋がっています。
「モールテックス」の天板に白で染色された古材の太いミラーフレームが
よく似合ってますね。
壁部分の「モールテックス」
水廻りに特に強い素材なので、パウダールームやバスルームの壁には最適。
この独特なムラ感が何とも言えず、良い風合いです。
壁から少し床まで折り返し使用し、それに合わせて床には柄タイルを貼ってます。
トイレの手洗い部分にも「モールテックス」を使用。
デコラティブなミラーフレームと良い感じにマッチング!
トイレの中にはこんな可愛い表示プレートも(笑)
このように様々な素材とマッチング出来るのも、「モールテックス」の魅力です。
どうしても、機能や実用性を重視で考えがちな洗面スペースですが、遊び心いっぱいの楽しいデザインの事例を紹介します。
このお宅では、楽しい、心地良い、デザイン性が良い、そんなことをポイントに細かなディティールにこだわりながら計画しました。
洗面スペースとバスルームは透明のテンパライトガラスで繋がり、
天井材はチーク材、そして壁は鮮やかな藍色ブルーのタイルで素材を通していくことで洗面スペースとバスルームの一体化を図りました。
そしてこの大小様々なラタンで出来てるミラー。
このミラー使い、面白いですよね〜
家族の身長に合わせて、ミラーの位置を変えランダムに形状も違うミラーをちりばめています。
洗面のミラーは四角い大きなもの、という固定概念を取り払い、これでも充分機能は満たせるはずです。
バスルームの中から見た感じはこんなイメージ。
空間もゆったりと贅沢に使い、リゾートホテルの様な設えになっています。
そして、浴槽からの外の景色はこんな感じで遠くにはオーシャンビュー!
バスタブの足下のガラスは、引き込みで全開口になり、露天風呂の様に外を感じて入浴出来る様になってます。
んん〜、こんなバスタイム 長生き出来そう。
洗面台の天板を決めていく場合、
大浦比呂志
数々の有名デザイン事務所で店舗デザイン、個人住宅建築、インテリアデザインなどに幅広く携わる。
1994年にネイチャーデコール(大浦比呂志創作デザイン研究所)を設立。
「人にやさしい 自然体の暮らし」というコンセプトをもとに、独自のテイストで注文住宅を数多く手掛ける。「自分らしく、自然体でいられる豊かな生活」「五感に訴える空間づくり」を提案。
著書に「MIND MAP」(マリン企画)がある。